「M&Aで事業の承継を受ける考えがある(譲り受け側)・・・」
「後継ぎ教育や経営幹部研修の好材料を探している・・・」
「設備投資による生産性向上を税制処置・金融支援活用で行いたい・・・」
「小規模持続化補助金で加点を得たい・・・」
このような経営者様には『経営力向上計画』の策定と実施をお勧めします。人材育成、コスト管理等のマネジメントの向上、設備投資など自社の経営力を向上するために実施する計画で、国の認定を受けることで税制、金融、法制面での支援も受けられます。従業員数2千人以下ならば事業法人、個人事業主を問わず。法人は会社のみならず医療法人、社会福祉法人、社団法人、NPO、協同組合その他各種組合組織も対象になります。
経営力向上計画は次のステップで策定していきます。まずは、自社の経営資源を利用する取組か、事業承継を受けての取組かの二つに分かれます。
さて、最初に「Ⅰ.現状分析をする」で自社をめぐる現状分析をします。
自社のことは意外と内部関係者だけではわからないもの。顧問税理士や取引先に率直に聞いてみるのも、ありです。ここで「Ⅰ.現状分析をする」-③自社の経営状況(財務面)では3期分の決算書を用意しておけば、「ローカルベンチマーク」という国が用意している無料の簡易財務分析ツールで業種別企業規模ランク別の経営数値比較が可能です。
以上を踏まえて「Ⅱ.問題点の整理をする」でヒト、モノ、カネ・情報の切り口から自社の経営課題を整理・抽出して、計画作成に備えます。
そして「Ⅲ.経営力向上計画書を作成する」で計画書を作りますが、
その際には国の所管省庁が定めた「事業分野別指針」から自社の経営課題に適合した「実施事項」を、事業規模に応じてアラカルト的に選んで取組を策定します。
事業分野別指針は経済省、観光庁、厚労省、国交省、総務省、農水省にまたがる21業種については指定があります。上記21業種以外(例えば情報通信業や多くのサービス業等)は「基本方針」によることとなります。
事業分野別指針は業種毎に区々ですので、ここでは製造業と卸・小売業の例を大まかに提示するにとどめます。いずれもヒト、モノ、カネ・情報に切り口に分類できます。
ところで、多くの業務の指針においては、「労働生産性」の伸び率に関して計画終了が3年後ならその時1%、4年後なら同1.5%、5年後なら同2%の伸び率を実現するような計画を求められます。ここで、労働生産性とは従業員1人当たりの付加価値額のことです(他に人・時ベースもあり)。
では「付加価値額」とはなんでしょうか?直観的に理解いただくために、下図を用意しました。
利益を測ってしまうと、従業員に多くの分配をする良心的企業の貢献を過小評価して不合理となる点をご理解いただけるでしょうか。
さて、経営力向上計画策定自体のステップは以上ですが、計画の実施にあたっては、国の認定を取得することで、Ⅳ.国の支援・措置を受けることが可能となります。具体的には①税制措置(法人税、個人事業主の所得税)、②金融支援、③法的支援の三つあります。
①税制措置は生産性向上に資する要件を充足する旨の確認者による証明書(工業会、経済産業局)付きの設備投資を行う場合に適用され、次4類型に分かれます。ただし、いずれも青色申告者である必要があります。ちなみに、工業会はその設備メーカーの製品に係る工業会で、メーカーが証明を取ります。
②金融支援では日本政策金融公庫による融資、信用保証協会による別枠保証等を受けることができます。いずれも経営力向上計画に係る資金使途である必要がありますが、設備投資資金の場合には金利優遇があります。
③法的支援は事業承継(受ける側)に関する支援となります。具体的には事業承継(受側)に係る業種固有の許認可の承継取得の特例、他社から土地・建物を承継取得する場合の不動産取得税や登録免許税の軽減があります。
ところで、③の法的支援に関してもう少し説明しておきます。経産省が2021年4月に公開した「中小M&A推進計画」では、この経営力向上計画をフル活用すべき構図になりました。この「中小M&A推進計画」の施策のひとつに「経営資源の集約化に資する税制」があり、「経営力向上計画」に基づいてM&Aを実施した場合、次の3つの税制措置の利用が可能になるというものです。
❶設備投資減税
経営力向上計画に基づき一定の設備を取得等した場合、投資額の10%の税額控徐、又は全額即時償却が可能。
❷雇用確保を促す税制
経営力向上計画の認定を受け、経営力向上報告書(経営力が向上したことの報告書)を提出した上で、給与等支給総額を対前年比で2.5%以上引き上げた場合、給与等総額の増加額の25%を税額控除。
❸準備金(中小企業事業再編投資損失準備金)の積立
「事業承継等事前調査に関する事項」を記載した経営力向上計画の認定を受けた上で、計画に沿ってM&Aを実施した際に、M&A実施後に発生しうるリスク(簿外債務等)に備えるため、投資額の70%以下の金額を準備金として積み立て可能(積立額は損金算入のメリットあり)。
いかがでしょうか。このように「経営力向上計画」の認定には特典が多数付いてきます。冒頭に述べたような4つの項目に関心がおありの経営者様は、是非私たち品川M&Aパートナーズ(SMAP)にご相談ください。
以上